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■ 小田急8000形(8053F)






恐らく2600形以降の大型通勤車では一番作りにくい存在だったであろう
この形式も、待望の完成品が発売されました。
細かく見れば多少の難はあるのでしょうが、全体的にはとても好印象な
仕上がりで充分8000形に見えます。何より、今まで鬼のような加工を
しなければ手にできなかった車種が手軽に手に入るようになった事が
嬉しく、当初買うつもりがなかった私も急遽4両編成を1本購入する事としたのでした。

さて、購入したは良いものの、当然そのままというわけにはいきません。
幾つか自分好みでない点があったほか、今回は極力今の実車の姿に
近くなるようにしたいと考えた為、車体の基本塗装を痛めない範囲で
多少手を加える事にしました。
製品状態の写真を交えたレポートはこちらで公開していますので、
よろしければ見比べてみてください。結構変わってると思います。

前置きが長くなりましたが、このページではこの8000形の主な加工点を
画像を交えてご紹介致します。ご笑覧下さい。







◆ 基本的な構成

ベースは今年1月に新発売となったマイクロエースの製品です。
主な加工点は以下の通りです。


・屋根の再塗装
製品を見てまず気になったのが濃すぎる屋根の灰色。
実車も黒ずんであんな色になってるのも居るかもしれませんが、
少なくとも私のイメージではもう少し明るい灰色です。
これは車両の印象を左右する部分ですので、
多少手間はかかりますが屋根以外をマスキングして塗り直しました。

新しく塗る色は確かグリーンマックス(以下GM)14番に艶消し剤を
足したものだったと思うのですが、もしかしたら多少他の色を混ぜてる
かも・・・。当初の予定では実車のマダラ模様の汚れを軽く再現すべく、
エアブラシの特権であるボカシ塗装に挑戦するつもりだったのですが、
これを作業した時ちょうど多忙だったり今ひとつ勇気がなかったりで
結局見送りました。
本当ならもっと白っぽい灰色を塗って、そこに暗いグレーをところどころ
グラデーションにして吹き付ければよりリアルになったのでしょうが、
残念ながらおろしたての新車みたいな色になっています。


・台車とスカートの再塗装
屋根のほか、下回りのグレーも好みの色ではなかった為、迷わず塗り替えました。
たぶん数年前まではあんな感じの色で正解だったと思うんですが、
今はもうちょっと明るくてごく僅かに青みがかった灰色に見えますので、
GMの14番と7番を9:1くらいの割合で混ぜた色で塗り直してあります。
この色は後述のクーラーや3000形の屋根や下回りにも使ってあります。
やや青が強くなりすぎた感がありますが、だいぶ今っぽい見た目になった
のではないかと思います。

なお、台車は当然一旦分解してから洗浄し、その後マッハのシールプライマーを
吹き付けた上で灰色を塗ってありますが、作業の具合が悪かったのか食い付きが
今ひとつで、塗膜の耐久性にはかなりの不安を残す結果となってしまいました。
なお、車輪表面にもプライマー塗布の上同じ色を筆塗りしてあります。


・クーラーの交換
製品のクーラーは妙に緑がかった灰色のほか、全体的にボテッとした造型に
違和感を感じた為、GMのパーツに取り替えてあります。レポートページでも
比較したとおり、大きさに関しては製品のものもGMのものもほぼ変わりませんので、
元の取り付け穴を埋め込むなどの工作は行なっていません。

このクーラーも上記の台車などと同じ灰色で塗ってあり、側面と上面の通風孔には
薄めたエナメル塗料でスミ入れしてあります。元のものとは対照的に、GMのは
かなり浅いモールドで仕上げられている為、特に側面の通風孔へのスミ入れは
すぐにはみ出してしまって大変苦労しましたが、製品状態と比べればだいぶ
落ち着いた印象になったのではないかと思います。


・パンタグラフの交換
製品に取り付けられているパンタグラフはあまりカッコよくない上に捩れていて
使い物にならないので、迷わずTOMIXのLSE更新車用(品番0249 PT7113-B
だったかな?)に取り替えました。そのままだと取り付け穴の間隔が合わないので、
連結面寄りのパンタ台を付け直して対応しています。このパンタ台はプラ板を2枚重ねて
作り、ランナー引き伸ばし線をスライスしたものでボルトを表現してありますが、
今回手をつけなかった車体中央寄りの台座と若干仕上がりに差が出てしまった為、
面倒でも4つの台座全てを付け直した方が良さそうです。


・連結器の交換
今回は当初より他形式との連結を考えていた為、先頭の連結器は
TNカプラー(密連・電連付・グレー)に交換しました。当初は他形式と
連結する側(4連だと小田原方先頭)のみ交換する事も考えましたが、
結局見た目の統一という意味も込めて連結の必要がない新宿方先頭
にもTNカプラーを取り付けてあります。

中間の連結器はKATOカプラーの密連形に交換してあります。
台車はグレーですが、実車のジャンパ管は黒だったと思うので
このカプラーも黒を使ってあります。これを取り付けるカプラーポケットは
台車枠本体から取り外せる構造となっている為、今回は台車枠から
外しておき、艶消し黒に塗装して巨大なカプラーポケットが
目立たないように工夫してみました。


・前面手すりへの色差し
製品では、前面の手すりは白系の樹脂にて成型されたパーツが
取り付けられており、当初はクロスポイント(以下CP)の小田急手すり
に交換するつもりで居たのですが、いざパーツをあてがってみると
確かCPのほうが一回り大きく、使えない事がわかったので元のパーツに
帯の青を色差しして済ませる事にしました。この青はCPの102番の
スプレーをキャップに吹き付け、それを面相筆で色差ししたものですが、
他の部分の青と全くと言っていいほど違和感なく馴染んでくれた為、
乗務員扉周りなど多少印刷にカスレが発生している部分のタッチアップ
にもこの102番を用いました。


・側面窓枠断面への色差し
コレははっきり言ってほとんど効果がなかったのですが・・・
製品状態では側面客窓(開閉窓)の断面にアイボリーが残っていたので、
この部分をエナメル塗料の銀色で塗り潰しました。ガラスを外した状態だと
結構アイボリーが気になるのですが、ガラスを取り付けてしまえば思いのほか
目立たなかった為、たぶんやってもやらなくてもあまり変わらないと思います。


・車内の塗装
製品状態では成型色の青一色となっていますが、当然そのままではなんなので塗りました。
元の青はシートの色として生かすため予め必要な部分をマスキングしておき、
その後適当に混ぜて作った青緑色を吹き付けて床材の色としました。
ただ、ちょっと濃すぎましたね・・・。
画像はクリックすると拡大できます。
新宿方先頭車クハ8053(奥)と小田原方のクハ8153。
レポートページに掲載した製品状態の姿と比べると
だいぶ雰囲気が違います。中でも屋根と下回りの
灰色を塗り直したのは中々効果的だったようで、
とても好みの仕上がりになってくれました。

こうして見るとやはりライト周りがもうちょっと繊細
だったらなぁと思いますが、Nゲージの大きさだと
厳しいんですかね・・・。
正面の様子。
前述の通り貫通扉脇の手すりにはCPの102番を
色差ししてありますが、ご覧の通り他の部分の青と
ほとんど差がありません。よ〜く見ればまぁ分かん
なくもないかな、といった程度でしょうか・・・。

種別幕と方向幕はGMのステッカーで、ガラス内側
の導光材に貼り付けてあります。今回は当初より
他形式と連結した10両編成にするつもりだったので、
快速急行としました。小田原方は10連を組んだ時
に中間封じ込めとなるので、例によって方向幕は
遊んでます(・∀・)

こうしてみると窓の内側が暗くて雰囲気を損ねて
いる気がしますが(模型としての見た目は決して
悪くないのですが)、ライトユニットがある関係で
ヘタに手を入れられず、今回は仕切りも運転台
も取り付けていません。実車の助手席側には
GPS装置(だったと思う)か何かの箱がぶら下がって
いるので、あれを再現しようかと考えたのですが、
仕切りも何もないのにアレだけ再現してもなぁと
考えて省略しました。

TNカプラーは普段連結しない新宿方のみ色差しを
してあります。反対側は連結と解放をするうちに剥が
れちゃいますからね。塗装は省略しました。若干胴受
け周りの形が違ったりはするものの、やはり製品状態
よりは格段にスッキリした見た目になったと思います。
先頭部を俯瞰気味に。
信号炎管はKATO製をほぼ無塗装で取り付け、
無線アンテナはGMのクモハ11-400付属のものを
使いました。無線アンテナの方は元のものも充分
カッコ良かったのですが、屋根を再塗装する時に
外したっきり紛失してしまった為、やむを得ず手持ち
品で代用しました。例によって頭の部分は青緑がか
った灰色で色差ししてあります。

乗務員用ステップはタヴァサの新型国電用ですが、
これはたまたま手持ちがあったから使っただけで、
もしかしたらもっと小田急のものに近い形のパーツが
あるかもしれません・・・。色も本当は灰色じゃなくて
黒が正解だったと思いますが、塗った後で気付いた
上にあまり違和感がないため灰色のままとしてあり
ます。
側面の様子。
両開き扉の戸当たりゴムには例によって極細ペン
にて黒を差してあります。今回の8000形ではドア
レールのモールドが扉の合わせ目で途切れてい
ない(に等しい)仕上がりとなっており、そのまま
だと戸当たりゴムのラインが引けない為、事前に
カッターの刃先で邪魔になる部分を削った上で
ペンを当てました。

側面の表示幕は鳳車輛製造のステッカーによる
ものです。今は前面用も含めてステッカーが発売
されていますが、今回は手元にあった“小田急顔”
用のNo.605を使ったため側面用のみ鳳車輛製で
賄っています。
リアルなステッカーで内容もヨリドリミドリですが、
問題なのは貼る対象となる電車の製作が追い
つかない事・・・。たぶんいまウチにある鳳ステッカ
ーを全部使い切るにはあと10年はかかると思われ
ます(苦笑)
屋根周り。
やっぱり地の灰色はある程度ウェザリングというか、
ボカシ塗装をして変化をつけるべきでしたね。
今ひとつ単調です。

クーラーは前述の通りGM製ですが、通風孔への
スミ入れは何度やっても難しく修正の嵐でした。
左右と下のラインは多少エッジが出ているので
それに沿って塗料が流れてくれるのですが、上の
ラインはほぼモールドがないに等しく、ただ塗料を
流すだけだと綺麗な線が出てくれないので結局
このラインのみマスキングテープを貼ってから塗料
を流しました。
パンタグラフ周り。
やはりパンタはTOMIXのやつのほうが格段に
カッコいいです。碍子に白を、摺り板にクリア
オレンジを、ホーン(?)の先端に黄色を差して
あります。

避雷器は手持ちに良いのがなかったのと、あまり
傷を付けずに外す事が出来たのとで元のものを
塗装しなおして使っています。上面の穴には極細
ペンで黒を差してあります。

ヒューズボックスは製品だと割と新しそうな形の
もの(8000後期〜1000あたりに付いてるような形
のやつ)が取り付けられていますが、実物の8053F
を見た時は確かもっと角張った古い形のやつを載せ
てたように思うので、今回はGMの17m旧国キットの
付録パーツを適宜加工して流用しました。

交換前のパーツだとボックスに引き込まれる配管も
ボックス本体と一体成型で再現されていますので、
交換した結果見た目が劣るような結果とならぬよう、
0.2mmの真鍮線でこの部分の配管のみ付け直して
あります。黒く着色してある部分が付け直した部分
ですが、この形、この短さで、かつこの場所に極細
の真鍮線をキレイに並行に取り付けるのは至難の
業です。今回はU字型に曲げて、2本が繋がっている
側をボックスに開けた穴に差し込む事でそれらしく
見えるようにしました(非常に分かりづらい説明で
ごめんなさい・・・日本語ムズカシイヨ)
反対側から。
配管は一旦塗り分けかけたものの、色の差が微妙
すぎて分かりづらい上に色差しが下手で却ってみす
ぼらしい為、今回はそのままとしてあります。
代わりに全体に軽く薄めたエナメル塗料を流して
陰影を付けてみましたが、これも却ってみすぼらしく
なった気がしないでもなく・・・。今回パンタ周りは
かなり失敗気味です。
車体の細かい表示ステッカー類は見事に印刷されて
いますのでそのまま活かしてありますが、窓ガラスに
貼られた優先席の白いステッカーだけは省略されて
いる為GMのステッカーにて再現しました。

中間の連結器はジャンパ管を再現したくて、KATO
カプラーに交換しました。大抵こういうカプラーの色は
台車枠の色と揃える気がしますが、今回はジャンパ管
の色を重視して敢えて黒にしました。
カプラーポケットも目立たないよう艶消し黒に塗装して
ありますが、これにはカプラーポケットが台車枠から
外す事の出来る構造が非常に役立ちました。
ボテーッとしたM車の床下機器は、結局やる気と強度
の問題から付け直しは行なわず、カバー状になっている
床下機器の端を機器の形状に合わせて削るに留まり
ました。しかしこうやって見るとカッコ悪いですね・・・。
最後に車内の様子。
例によって床板の車内側はシートの色を模したと
思われる鮮やかなブルー一色となっていますので、
シートにあたる部分のみマスキングし、床材の色を
イメージした青緑を吹き付けてあります。
M車の車内側は青緑一色です。記憶を頼りに適当
に混ぜて作った色の為、かなり濃くなってしまいました。






ブラックフェイスは80年代の流行・・・。
この時代独特の、古臭すぎずぶっ飛びすぎずのデザインが大好きです。


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

今回久々に完成品を加工しましたが、やはりもとの基本塗装を生かせる程度のグレードアップ工作は
最低限の仕上がりが保障されている分、作業していてもどこか気楽でなかなか楽しいものでした。
特に今回は日頃から頻繁に実車を目にできる車種であった為、観察した結果を反映しやすいのも
楽しかった要因の一つかもしれません。
最近は鉄コレとマイクロエースの活躍で、長らくキットが主役だった私鉄通勤車にも完成品が目立つ
ようになってきましたが、それらひとつひとつをキットと同じような“材料”と考え、今後も使えるものは
ドシドシ活用して更なる小田急電車の増車に励もうかと考えているところです。


展示室TOP